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大切なもの

数年前に空へ旅立った、私の母方の祖母。
(『いつの日も』という曲を書くきっかけに...)

昔、古くなった家を新しく建て替えるために
祖父母と叔父家族は、
数ヶ月間だけ別の場所に住むことになり、そこによく私も泊りに行った。
(元々、美容師の夫婦が住んでいたサロンと家が隣接している建物)

そこは元々住んでた場所から
数百メートルなうえに、
叔父達が通っていたサロンということもあって、
よく通っていた場所。

子供の頃の私は、なんだか
未知の世界をこじ開けるような
引っ越ししたてのワクワク感にはしゃいで
大人たちの引っ越しの苦労なんか関係ないというくらいに、
泊まるのが楽しみで、夏休みはほとんど遊びに行っていた。

でも、とうとう
家を取り壊す日になって
母親とばあちゃんと三人で
散歩がてら、最後の家の姿を見みにいった時
手をつないでいたおばあちゃんは、
ただただ真っ直ぐ家をみつめながら
無言で涙を流していた。

それを見た私は
なぜ、ばあちゃんが泣いてるのか
小さい頃は理解できなくって
どうして泣いてるの?なんて
空気の読めないセリフを投げたほどだった。

だけど、よく階段でいとこの兄ちゃんに理由もなくいじめられたっけなぁとか笑
蚊帳の中で、じいちゃんに寝る前昔話(今思えばめちゃくちゃな自作。笑)聞かせてもらったなぁトカ
夏は冷たい稲庭うどんを大きなテーブル囲んで甲子園なんかを観ながら食べたっけトカ
思い出して、そりゃあちょっと
寂しい気持ちになったけど
子供だったということもあり、泣くほどではなかった。

でも今は、ばあちゃんの気持ちがわかる。

大切って自分にしかわからない
汚い日々が、ほんと嫌んなっちゃうのって
眉をひそめながら話せることが
どれだけ積み重なるかなんだなぁ、と。

友達も、家族も、恋人も
可愛いペットも、仕事も。

母親との胸ぐら掴んだ取っ組み合い。
むしゃくしゃして友達と帰り道に叫ぶように歌った歌詞のめちゃくちゃな曲
色気のない父ちゃんの焼きそば
どれだけ、精一杯汚いものが
刻まれたかなんだ。

そうして今になって祖父母を浮かべた時に
思い返すのは、
私も、あの古い家にいた頃の祖父母と
みんなといた頃の思い出だったりする。